渡邊美沙季さん 宗次德二特待奨学生第7期生

この度は宗次德二特待奨学生として採用していただき、ありがとうございます。宗次様には多大なご支援を賜り、心より感謝申し上げます。また、大学の先生方やこの制度に携わっておられる関係者の皆様にも御礼申し上げます。

私は、春から院生としての学びの覚悟を決め、沢山の夢や目標を抱いていました。しかしその矢先、このような誰もが予想がつかない状況となりました。はじめは、「学生として完全な形で学びたい」という気持ちと命を守るための行動をしなければならないという環境との狭間に苦しみました。しかし、熱いエネルギーと愛情を持ち私たちをご指導してくださる先生方のおかげと、共に切磋琢磨する友人に囲まれ、多くの学びを得ながら日々を過ごせています。この期間に学んだことだけではなく、自分を見つめ直して音楽家の在り方について考えたことは、きっと今後の財産になると信じております。

現状では世界的な規模で以前のように演奏会を行うことが困難となり、音楽家は苦境に立たされています。「今後音楽家の需要は無くなるのだろうか」と自らに問いかけた時もありました。私は今までの人生を顧みると、悲しい時や辛い時こそ偉大な音楽の力に救われ、今日まで音楽と共に歩んできました。今後、音楽や音楽家の在り方は変化してしまうかもしれませんが、私は、音楽が人々に与えるエネルギーや可能性を信じており、それを伝えていく役割を担っているのだから、ここで歩みを止めてはならないと強く思います。今後も一層努力を重ね、聴いてくださる方に多くのエネルギーを与えられる演奏家になれるよう、日々精進致します。

 

大学院音楽研究科 オペラ専攻
渡邊美沙季